画帖の扉絵的に描かれているのは、小倉名産である三舘(官)飴の壷と「大道」の火打ち金である。
三舘飴は水飴で、室町一丁日の三宮屋宇兵衛店でつくられ、諸大名や公儀役人等への進物に好まれた。
その製法は朝鮮半島から伝わったものという。
飴壷の商標に見える「應製」は、絵師応成の洒落であろう。
「火打ち金」製造元の大道は、屋号を鍛冶屋といい、御船宮寄りの馬借町の角に居を構えた。
同家の当主は「九兵衛」を通称にし、細川氏お抱えの刀鍛冶「大道左兵衛」や「大道左太郎」の一族と思われる。
三舘飴