いのちのたびの物語

私たちの“いのち”は
どこからやってきたのでしょう。
地球に最初のいのちが生まれてから、
生き物は進化と絶滅をくり返して
長い「いのちのたび」を続けてきました。

北九州もその舞台のひとつ。

今の風景を見ていると
信じられないかもしれませんが、
ここで恐竜が暮らしていた時代もあったのです。

今からおよそ40億年前、
生き物がまだいない静かな海の中で、
最初のいのちが生まれました。

目に見えないほど小さかったいのちは、
長い時間をかけて進化し、
約5億4000万年前以降には三葉虫、
ウミユリ、アンモナイト、魚などが現れはじめ
海にはたくさんの生き物が
暮らすようになりました。

さらに約3億年前までには
植物や昆虫、魚から進化した
両生類たちが陸上で
暮らすようになっていました。

いのちは海だけでなく、
陸や空へと広がっていったのです。

約2億3000万年前には
地上に恐竜が現れ、温暖な気候の中で、
種類も生態も多様化して
どんどん増えていきました。

恐竜たちが大地を歩き、空を舞い、
地球が恐竜たちの世界に
変わったのです。

今の北九州にあたる
ユーラシア大陸の東部にも、
ティタノサウルスの仲間や
ワキノサトウリュウなど、
さまざまな恐竜が暮らしていました。

しかし、長く続いた「恐竜時代」も
終わりを迎えます。
約6600万年前、多くの生き物が
絶滅してしまったのです。

それでも生き残ったいのちがあり、
進化を続けました。
やがてこれまで目立つことのなかった
ほ乳類が増え、繁栄する時代に入ります。

約700万年前に私たち人類の祖先が現れます。
道具を使うようになり、
食べ物を求めて移動しながら暮らしていました。
のちに定住する人びとも現れました。

日本では縄文時代の終わり頃から
作物を育てるようになりました。
弥生時代には大きな戦争も起きました。

北九州はむかしから
海や陸を通じて多くの人や物が行き交い、
さまざまな産業や文化をはぐくんできた場所です。

約400年前の江戸時代には小倉城が築かれ、
城下町や街道が整備されました。

そして明治時代には
石炭を運ぶ鉄道や港が整備され、
官営八幡製鐵所が開業したことで、
北九州は日本を支える工業都市として
発展しました。

私たちが暮らすこの土地の地層や化石、
そして動植物や遺跡、文化財を調べることで、
いのちが歩んできた道のりがわかります。


そして“私たちがどこから来て、
どこへ向かうのか”が見えてくるのです。
北九州では約3億5000万年前のウミユリや、
1億数千万年前の恐竜、
約3000万年前の巨木や
クジラなどの化石が見つかっています。

博物館にはこういった
さまざまな時代の資料が収められ、
生命や人類の歴史をたどることができるのです。

地球の誕生から約46億年。

動物や植物たちは多くの絶滅の危機を乗り越え、
奇跡のような進化をしてきました。

そして、その果てしない旅路の先頭を、
私たちが歩いているのです。

博物館が集めた「たびの記録」を楽しみながら、
過去から今、そして未来へと続く
「いのちのたび」を感じてみてください。

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